【為替】「あの日」以来の最高値まで上昇してきたユーロ/フラン

筆者 鳥羽賢 |

最近になってユーロ/フランが1.15まで上昇してきた。

 2015年1月15日に、為替市場で前代未聞の事件が起こったことを覚えているだろうか?その日にスイス中銀がユーロ/フラン [i] に設定していた下限値である1.2を撤廃し、フランがユーロや他通貨に対して数千pipも大暴騰した。そして最近になって、ようやくユーロ/フランがその日以来の高値まで上昇してきた。

 

1.2の下限を設定

 

 スイスフランは2008年のリーマンショック以降、「逃避通貨」としてユーロや他通貨に対して買われ続け、リーマン前より遥かに高い水準まで上昇するようになってきた。

 例えばユーロ/フランを見ると、リーマンショックのころは1.5付近で推移。そしてそれ以前も特にフランが高くなったことはなかった。しかしリーマン以降は急激に下落(フランが上昇)し、2011年にはユーロ/フランとしては2002年のユーロ発足以来初となる1.0水準に接近した。

 だがあまりにフランが高くなりすぎるとスイスも困る。スイスにも腕時計など輸出品があり、フランが高すぎると輸出品が売れにくくなるからだ。そこで2011年秋になって、スイス中銀は思い切った政策を発表した。その政策とは「ユーロ/フランに1.2の下限を設定し。そのラインを下回ったら無制限にフラン売り介入をする」というものだ。

 この政策はすぐに効果を発揮し、それまで1.2を下回っていたユーロ/フランは一瞬で1.2を超える水準まで上昇。そしてその後は何年も1.2をやや上回る水準に留まっていた。

 しかし順調に見えたこの政策も、裏では少しずつ亀裂が広がっていた。2014年頃になると表面上は1.2を維持できていても、スイス中銀にとって維持することがかなり苦しくなっていたのだ。

 そして2015年1月15日、スイス中銀は突然「1.2下限の撤廃」を発表。その直後にユーロ/フランのレートは4000pipも大暴落して0.8になった。またスイスフラン/円も、発表前には115円台だったレートが一気に45円も上昇して160円になった。その後最近まで2年間ほど、ユーロ/フランは1.02~1.08付近で比較的緩やかな動きを続けてきた。

 ただ最近になってついに1.02~1.08のレンジをブレークする。きっかけはユーロ圏の経済とインフレ率が好調なため、ECBによる緩和縮小と引き締めへの見通しが高まってきたことにある。

 ユーロ/フランは7月以降上昇トレンドになり、特に7月末に急騰。2015年1月15日以来何度か跳ね返されてきた1.1付近のレジスタンスラインもブレークし、最近では1.15まで上昇した。

 今後数ヶ月以内に、「あの日」以来の1.2回復も見られるかもしれない。現在スイスは政策金利を-0.75%という超低水準に保っているが、1.2を超えたら政策金利の引き上げも検討されることになるだろう。



この書類に含まれる素材はiFOREXではなく、独立した第3機関により作成されたもので、いかなる場合においても、直接的・間接的、明示的・暗示的にかかわらず、投資に対する助言や、金融商品に関する投資戦略の推奨、提案として解釈すべきものではありません。この書類に含まれる過去の実績や、それに基づくシミュレーションは将来の成果を保障するものではありません。すべての免責事項はこちらをクリックしてご確認ください。

筆者について
鳥羽賢

慶應義塾大学経済学部卒業。輸入業務に従事後、ライターとして2003年より主に経済分野を中心に執筆活動を行う。企業トップへインタビューした上での、ビジネス記事執筆経験多数。ポータルサイト『オールアバウト』では、「世界のニュース・トレンド」テーマなどで、数年間政治・経済ニュース記事を執筆。FXの専門誌『月刊FX攻略.com』でも各通貨ペアの特徴解説など、FX攻略記事を執筆した経験がある。主な著書に、『とにかくわかる! FX超入門者』(すばる舎)などがある。翻訳活動も行い、FX投資教材の翻訳を中心に、金融分野の翻訳実績も多数。自身でも投資を行い、FXのトレードも2006年以来7年以上にわたって継続している。