「リブラ」の計画が大幅に修正される

「リブラ」の計画が大幅に修正される

著者 鳥羽賢
2020年04月19日

昨年6月にFacebookが開発・発行計画を発表した仮想通貨「リブラ」は、国境を越えて世界中の人が自由に使える仮想通貨を目指していた。しかし発表当初から各国政府から懸念が相次ぎ、ついに最近になってこれまで目指していた形式での通貨発行を断念した。

1つではなく複数のリブラ

Facebookは昨年6月に独自の仮想通貨「リブラ」の開発・発行計画を発表。世界最大手のSNSであるFacebookが仮想通貨を発表するという話は驚くべきものだったが、目的は銀行口座を持たない世界の多くの人々に手軽に国境を越えて送金できる手段を与えるというものだった。


Facebookは世界に約25億人のユーザーがおり、関連サービスも含めればその数はさらに多い。そしてユーザーの中には途上国に住み、銀行口座を持たない人々も大勢いる。日本人は成人ならほとんど銀行口座を持っており、海外に送金することも難しくない。しかし銀行口座を持たない人々にとって海外への送金は難しく、そういった人々に手軽な海外送金の手段を与えることがリブラの大きな目的だった。


しかし巨大すぎるFacebookが仮想通貨を発行すれば既存の世界の金融秩序が崩れてしまうとの懸念が大きく、リブラに対し各国政府は最初から批判的だった。そのためリブラのプロジェクトは発表直後からかなり難航していた。


そして今週16日になってついに、リブラを運営するリブラ協会はこれまでのものから大幅に修正した計画を発表した。その計画によると、これまで発表していたような1つの通貨としての「リブラ」を発行する計画は一旦停止。


その代わりに米ドルやユーロなど主要通貨に1:1の等価交換ができる仮想通貨を複数発行するとのことだった。つまり米ドルと等価交換ができるものを「リブラ・ドル」、ユーロと交換ができるものを「リブラ・ユーロ」などと呼び、複数の仮想通貨を発行する。これには日本円と等価交換できる「リブラ・円」が含まれる可能性もある。


こうすることによって、各国政府からの批判をかわす狙いがあると思われる。ではなぜ各国の法定通貨に連動する通貨に変えたことで、各国の批判をかわせるのか?1つには、そのように単一の法定通貨に連動する仮想通貨は「ステーブルコイン」としてすでに存在するためだ。


米ドルに連動するステーブルコインはいくつか発行されているが、最も有名なものにテザー(USDT)がある。そしてテザーは米政府も特に問題視せず、仮想通貨として何年も流通している。また米ドル以外の通貨と連動する予定のリブラも、特に大きな問題にはならないと見込んでいる。


また16日に発表された修正計画では、マネーロンダリングを防止するための仕組みをより強化することも含まれていた。このようにまずは各国政府がある程度受け入れられるような単一通貨に連動したリブラを複数発行し、その後問題なければ当初計画にあった複数の通貨バスケットに連動した通貨を発行するという計画だ。


最初の計画は各国の懸念が非常に強く、そのままで実現は難しいと見られていた。だがここまで大きく修正したなら、各国通貨に連動した複数のリブラを発行するところまでは実現できる可能性が高まってきたと言える。

 

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