「イカゲーム」に便乗した仮想通貨詐欺

韓国の人気ドラマ「イカゲーム」の名前を使い、将来開催される関連ゲームイベントで「使える」と称した仮想通貨が10月から出回っていた。しかしその仮想通貨は価格が高騰したところで発行者と思われる一派が多額を現金化し、そのまま行方をくらましてしまった。

発行後短期間で7万円に

　オンライン映像配信サービスのネットフリックス上で今、9月に初公開された「イカゲーム」という韓国ドラマが大人気となっている。「イカゲーム」とはもともと韓国の子どもたちが行う遊びの名前。

　ドラマ「イカゲーム」は、突然多数の人々が集められて命をかけたゲームに参加させられるというストーリーのドラマ。ドラマ中では「イカゲーム」だけではなく、いろいろなゲームが行われ人々が生き残るために必死に勝ちに行く。

　しかしドラマとしては大人気のこの作品だけに、その人気に便乗していろいろな商品が生まれている。仮想通貨「Squid Game（意味はイカゲーム）」もその1つで、10月になって発行された。

　仮想通貨Squid Gameは「11月に行われるイカゲームのビデオゲームイベントで使える」を売りにして発行された。発行直後の10月20日頃はまだ1枚＝1円などごく安い値段しかつかなかったが、仮想通貨ブームとドラマ「イカゲーム」の人気のため短期間で高騰。10月31日にはすでに4,000円になった。

　そしてここからが異常な動きとなる。11月1日の午後以降Squid Gameの価格は数時間で10倍以上大暴騰し午後6時過ぎには7万円を超えたが、そこから今度は一瞬で大暴落して1円未満になってしまった。大暴落後の価格を0.7円とすると、一瞬で10万分の1になってしまったことになる。

　この大暴落の背景には、発行者と思われる一派が裏でSquid Gameの多くを現金化して、行方をくらました動きがあった。その後発行者のウェブサイトやSNSなどはアクセスができなくなっている。

　Squid Gameは「イカゲーム」の名前を持ち11月のビデオゲームイベントで使えると謳っていたものの、ドラマの製作者やネットフリックスとは無関係であったことが明らかになった。つまりこの仮想通貨は最初から発行した後に売って行方をくらます、詐欺目的で発行されていた疑いが強い。

　仮想通貨は現在ブームであり価格も上がっているものの、たくさんある仮想通貨の中にはこのような詐欺目的のものもある。1日で数十億分の1にまで大暴落した仮想通貨もあり、仮想通貨投資を行うにあたっては詐欺紛いのものを見分ける目が求められる。