仮想通貨は乱立すれば自滅の方向に向かう!?

今週になってFacebookが独自仮想通貨「リブラ」の詳細を発表した。SNSとして世界最大手のFacebookが発行することで仮想通貨という存在がさらにメジャーなものになるが、仮想通貨は増えすぎると自滅に向かうのではないかと懸念される。

数が増えるとかえって混乱!?

以前から噂のあった、Facebookによる仮想通貨「リブラ」の詳細が今週になって発表された。発表内容によるとリブラは主にFacebook傘下のスマホアプリ「WhatsApp」のユーザーなどを対象にして、ユーザー間で送金したり関連のオンラインストアで買い物ができたりするようになるということだ。

SNSとして世界最大手と言ってもいいFacebookの参入により、仮想通貨はまた存在感を高めることになる。2017年後半の世界的ブームは去ったが、2018年以降も仮想通貨の普及は少しずつ進んでいるのは間違いない。

しかし仮想通貨がメジャーな存在になりすぎて、多くの企業が仮想通貨を発行し、世界には多くの仮想通貨が乱立する状態になってきた。一企業が資金調達のために発行するICO（新規仮想通貨発行）も含めれば、すでに相当数の仮想通貨が存在している。

だがもともとの仮想通貨のメリットは何だっただろうか？もちろんメリットはいろいろあるだろうが、1つには「国境に関係なく世界各国で同じ通貨で決済ができる」というメリットがあったはずだ。

ところが仮想通貨の種類が増えていくとどうなるか？世界に仮想通貨が1つだけなら、「世界各国で同じ通貨で決済ができる」という理想の世界に近付いていくのは確かだろう。しかし仮想通貨の種類が増えると、お店Aではビットコイン、お店Bではイーサリアム、、、というように結局違う仮想通貨を使い分けないといけなくなってくる。

法定通貨は「1国＝1通貨」が原則なので、世界の国の数である約200以上に通貨の数が増えることはない。たまにユーロのように多数の国が統一通貨も持つこともあるが、そのようなケースがあると実際の通貨の数はもっと少なくなる。

それが仮想通貨の場合、200に留まらず通貨の種類が際限なく増え続けていく。2017年後半のように世界的ブームがあると発行できる企業は猫も杓子も仮想通貨を発行し、乱立はどんどん進行してきた。

これまでのところは数が多くなったことによる弊害はあまり出てないが、それは仮想通貨が事実上ビットコインの1強状態であるからと言える。実際に現実のお店で買い物に使えるのはビットコインのみで、他の通貨はほとんど使われていない。

しかし今後仮想通貨の種類が増えていくと、乱立によってかえって使う側の利便性が損なわれるという弊害が出てくるかもしれない。それが仮想通貨の自滅につながるという可能性も、完全には否定しきれない。