スペイン総選挙が欧州の新たな火種になる?!

スペインが先週末に議会の解散と、4月28日の総選挙を決定した。この総選挙では右派政権が誕生するかもしれないと言われており、そうなった場合は欧州にとって新たな火種になる可能性がある。

極右政党が議席獲得も

スペインが先週末に議会（下院）の解散を決定。4月28日に総選挙が行われることとなった。このタイミングで解散総選挙になったのは、予算案が支持されなかったためだ。そして予算案を支持しなかったのは、カタルーニャ州の独立を支持していた議員達だった。

そして今回の総選挙では、最近勢力を伸ばしている右派政党が議席を伸ばすのではないかと注目されている。右派政党が勢力を伸ばしてきたのは、今でも続いている移民・難民の大量流入への反発がある。

2015年の「難民危機」では、多くの難民がギリシャから旧ユーゴスラビア諸国を通って陸路でドイツなどに向かっていた。しかしそのルートは2016年前半までに閉ざされる、すると難民達は地中海を船で渡ってイタリアに上陸するルートを取るようになり、イタリアに難民が殺到。そのためイタリアでは昨年極右と言われる政権が誕生した。

イタリアの極右政権は難民に対して厳しい姿勢で臨んでいるため、今度はスペインに来る難民の数が増えている。そして今度はスペインで極右政党が台頭…と移民・難民が大量に押し寄せた国ではどこも極右政党が台頭している。

今回の解散前のスペイン下院では、定数350に対して与党であるはずの左派・社会労働党はたった84議席しか持っていなかった。だからこの政権は最初から不安定だったのだ。議会で最大政党だったのは、134議席を持つ右派の国民党だった。だが社会労働党には閣外協力をする政党がいくつかあり、その結果社会労働党がこれまで与党という形になっていた。

しかし先週末に解散総選挙が決まった。今回の総選挙では右派の国民党が議席を伸ばす可能性だけではなく、極右政党と言われるVOXが議席を獲得できるかが注目されている。

VOXは新興の極右政党として2013年に設立。反移民・難民政策を掲げ、それらの政策によって急速に支持率を伸ばしてきた。そして昨年12月に行なわれたアンダルシア州の州議会（定数109）選で、それまでの議席なしから一気に12議席獲得してスペイン中を驚かせた。

そして4月の総選挙でも、VOXは議席を獲得する見込みがあると見られている。VOXが議席を取ると、右派の国民党と合わせて右派政権が誕生するかもしれない。そうなるとスペインは反移民・難民に舵を切り、またイタリアのようにEUとの対立も生まれ欧州の不安定要因となることも考えられる。