いよいよ高まってきたトルコの金融危機の可能性

筆者 鳥羽賢 |

トルコのリラの下落が加速しており通貨危機の寸前にある。

 トルコが厳しい状況になってきている。今週になってトルコリラは一段と下落し、1米ドル=3.8リラを超えて2005年のデノミ以来の最安値をつけた。そして格付け会社からの格下げも迫っている。トルコ経済はデノミ以来最も厳しい状況に陥っていると言っていい。

トルコの過去記事はこちら。

 

リラが今年になって暴落

 

 トルコ経済は、昨年夏以降急速に悪化してきているように見える。その大きなきっかけとなったのが、昨年7月のクーデター未遂事件だった。この事件では軍の一部がクーデターを起こしてエルドアン政権を倒そうとしたが、トルコ国民の抵抗もあって失敗に終わった。

 その後エルドアン政権は国内の反対勢力への弾圧を強めたため、それをよく思わない欧州各国から批判が強まった。本来なら「内政問題」で片付けられることかもしれないが、トルコはEUへの加盟を希望しているので無関係というわけにはいかない。

 欧州諸国との関係悪化や国内における弾圧は、トルコ経済の見通しを悪化させていく。昨年7月のクーデター未遂直後には、格付け会社のS&Pがトルコを格下げして「BB+」というランクにした。

 この「BB+」という格付けは「ジャンク債級」と呼ばれるランクで、その1つ上である「BBB-」から上の「投資適格級」とは別物として見られることになる。ジャンク債級として格付けされた国債はリスクが高いと見られるため、多くの機関投資家などが購入を止めてしまう。

 さらに9月には3大格付け会社のもう1社・ムーディーズが、トルコの格付けをそれまでの「Baa3」から「Ba1」に引き下げた。こちらもS&Pと同様、この格下げによってトルコの国債が「ジャンク債級」に入れられたことになる。

 そして今月になって、3大格付け会社の最後の1つ・フィッチが、トルコを近々に格下げする可能性があると述べた。現在のフィッチによる格付けは「BBB-」で、S&Pと同じく投資適格級の最低ラインにある。もう1段階格下げされて「BB+」になると、3大格付け会社の全てでジャンク債級になる。

 格付けがこれだけ悪化していることから、通貨・リラは下落が続いており、特に昨年11月の米大統領選以降は米ドル高にともなってリラの下落が加速。大統領選前は1米ドル=3.1リラ付近だったのが、年末年始には3.5リラ、そして現在は3.8リラを超えた。大統領選の頃から2ヶ月で20%、年末年始からはわずか半月足らずで10%暴落したことになる。またトルコリラ/円も、11日になってデノミ以来初めて30円を割って29円台をつけた。

 半月で通貨が10%も下落するのはただごとではない。この状況を放っておくと、トルコ経済は危機的状況になるかもしれない。しかしトルコは中東地域からの難民がEUに入るのを食い止める場所として非常に重要であり、トルコの混乱は難民問題を悪化させることにもつながりかねない。



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筆者について
鳥羽賢

慶應義塾大学経済学部卒業。輸入業務に従事後、ライターとして2003年より主に経済分野を中心に執筆活動を行う。企業トップへインタビューした上での、ビジネス記事執筆経験多数。ポータルサイト『オールアバウト』では、「世界のニュース・トレンド」テーマなどで、数年間政治・経済ニュース記事を執筆。FXの専門誌『月刊FX攻略.com』でも各通貨ペアの特徴解説など、FX攻略記事を執筆した経験がある。主な著書に、『とにかくわかる! FX超入門者』(すばる舎)などがある。翻訳活動も行い、FX投資教材の翻訳を中心に、金融分野の翻訳実績も多数。自身でも投資を行い、FXのトレードも2006年以来7年以上にわたって継続している。